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のこころ

こぶりな暮らしで生活を豊かにすることをポリシーにしている30代女のブログ

家族が亡くなってつらい気持ちを和らげてくれた本

「親の死を乗り越える方法」が知りたい。

身近な人が亡くなってしまった時のつらさは、家族の形、年齢、性別、これまでの経験によって、感じ方も気持ちの変化も違ってくるので、答えは人の数だけあるものだと思います。

そんなことはわかっているのですが、この気持ちをどうにかしたいと思った時に私がしたのは、本を読むことでした。

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本を読んで何かきっかけをつかみたい

小学生の子どもがいて仕事もしていると、日々の生活はせわしく時間が過ぎ、何かをしている時はそのことに夢中になっているのですが、通勤の電車の中、子どもが寝てしまって静かになった夜などにジワリと滲み出てくるものがあります。

そうしたふとした時に感じる喪失感を避ける為に何もしない時間を無くそうと、子どもの行事にも積極的に参加して外に出るようにしていました。そしてとにかく本を読みました。隙間の時間を埋めるようにいろんなジャンルの本を読み続けたのです。

これまでも本を読むと方向性が見えてきたり、元気をもらったり、何かしら変化をもたらしてくれていました。そしてやはり今回も本が私の心に響き、行動するきっかけを作ってくれました。

「ひとがた流し」で友情の形、存在の大きさを感じた 

ひとがた流し

ひとがた流し

 

ひとがた流し

高校で同級生だった40代の3人の女性、主人公の独身のアナウンサー、シングルマザーの作家、写真家と再婚した元編集者。主人公の母が亡くなり、自身も病が発覚し進行していく中で、三様の生き方を選択した3人の友達としての関係や、自分自身に向き合う様子が表現されていて、人のつながりが持つ温かい力を感じる本でした。自分以外の人を思いやる優しい気持ちを持つ主人公が、私の母と重なりました。

私にも子どもの頃からの友人が二人いて、それぞれ異なる生き方をしています。頻繁に連絡を取り合っているわけではなく、何ヶ月も連絡しないこともよくあるのですが、ただ存在するだけで心の支えになってくれているのです。

自分の全てを話して、何でもオープンにして共有するだけが友情ではないと思っています。あの子も頑張っているから自分も頑張ろうと、そう思える友達です。

私にも支えてくれる友人の存在がいるという事、その存在の温かさを改めて感じて、しみじみと読み進めていました。

あとがきで「涙」という言葉をあえて使わずに書いたと作者が書いていますが、読み終えて初めて気が付きました。

「涙を流した」と簡単に書いてしまうのではなくて、心情や情景からその様子を伝えているからこそ、複雑な状況を的確に伝えられているんだなと感じました。

繊細で優しい文章で淡々と進んでいくので重苦しくなく、心地よい余韻が残る作品でした。

「風の靴」で背中を押してもらえた 

風の靴 (講談社文庫)

風の靴 (講談社文庫)

 

 風の靴

中学受験に失敗して家族にもうんざりしていた海生の唯一の味方だったおじいちゃんが亡くなり、サイテーがサイアクになってしまった夏休みに、親友と家出を決意した。それもヨットに乗って。

故人の思いや愛情が少年の心に受け継がれていて、親友と一緒に自然を冒険する中で、主人公の心の葛藤がほどけていく様子がとても清々しくて、気持ちを前向きにしてくれる本でした。おじいちゃんが何ともかっこいいのです。

登場人物と私自身は年齢も性別も異なります。その中でも似ていると感じたのは、故人が大好きで頼りになる存在だったということです。

母が亡くなって何がつらいのか、悲しいのかを考えた時に、自分本位で未熟なのですが、支えてくれていた存在がいなくなってしまったということでした。 何かあった時に相談したり、助けてもらったり、30歳を過ぎても母を頼りにしていたのです。そんな甘えの気持ちから悲観的になっていたのですが、読むうちに心が満たされ、自立して前に進もうという気持ちになり、自然と風を感じる場所に行きたくなりました。

児童書なので、読み終えた後に小学3年生の息子にすすめたら、私とは違った捉え方で楽しんで読んでくれたのも嬉しくなりました。

思春期を経験した男の子、男性、母親、皆に読んでもらいたい本です。

同じ作者の「かはたれ」は、出てくるお母さんがとても素敵なので、子どもがいるお母さんには何か感じるものがあると思います。

ツナグで前進する気持ちになれた

ツナグ (新潮文庫)

ツナグ (新潮文庫)

 

ツナグ

一生に一度だけ、死者との再開を叶えてくれるという「使者」ツナグを中心に、アイドルが大好きだったOL、がんの母を亡くした息子、親友に嫉妬している女子高生などの様々な視点から、死とその後残された者の心の様子を読み取る事ができる本でした。

私は母ともう一度会えるとしたら何か話したい事はあるのかなと考えてみても、何も話せない方が幸せなのかもしれないと思えました。

話ができたとしても、過去に戻ってやり直せるわけではないのですよね。

これまでの生活を振り返りながら、母だったら叱るだろうなとか、母だったらこうするだろうなと頭の隅で思い出すと、悲しくなることもあれば微笑ましくなることもあります。私の中で母の存在はいつまでも続いていくんだなと実感する瞬間です。

本を読み進めていく中で、いたたまれなくなったり、前向きになれたり揺さぶられましたが、読後は心がすっきりして励まされたような気持ちになりました。

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最後に

本はいつも何か気づきを与えてくれる。

自分が初めて経験した感情をどのように受け入れたらいいのかわからない時には、他の人の体験談を聞きたくなるものですが、本の中には様々な人の経験が描かれているので、ストーリーの中に入り込むことで疑似体験することができます。

今回紹介した私の心を和らげてくれたこれらの本は、これまでの経験と状況を癒すのにぴったりと当てはまったから少し前に進めたのだと思います。読んだのが私だったから、本が前進するきっかけをくれたのです。全く状況の違う方が読んでも、何も心に響かないのだと思います。

それでも、何かきっかけを探している方のヒントになると幸いです。